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ペアガラスは静かなの?

ペアガラスって静かの?

ペアガラスも一般的になり、眼にする機会も増えてきました。断熱性能に優れ、結露対策としても効果的なペアガラスは今後ますます増えてくるでしょう。サッシメーカーも今日ではペアガラスを標準と位置づけています。特にペアガラスの中でも冷暖房効率が高くなるエコガラスはCO2削減の効果も高く注目もされています。

広告や販売業者さんから時々「ペアガラスは防音効果が高く」のくだりを耳にしますが果たしてどうなのでしょうか?


周波数ごとの
防音効果の平均値

T値
(Ts等級)

3ミリガラス

25dB

T-1(Ts-25)

網入りガラス(6.8ミリ)

29dB

T-2(Ts-30)

ペアガラス(3ミリ+中間層6ミリ+3ミリ)

20dB


ペアガラス
(網入り6.8ミリ+中間層12ミリ+5ミリ)

31dB

T-2(Ts-30)


上記は前頁の「窓ガラスの防音性能表」ですが、ご覧になってお気づきになりましたか?

3ミリ厚みのガラスとペアガラス入りの窓として使われることが最も多い、3ミリ+中間層6ミリ+3ミリのペアガラス(以下ペアガラスとします。)は、表によれば防音性能はペアガラスの方が劣ります。
ペアガラスも3ミリガラスが使われている、しかも2枚も使われているのになぜ、3ミリガラスよりも防音性能が劣るのでしょうか?

ではより詳しく周波数ごとに、どの程度の音を遮断できるのか=音を小さくできるのか=透過損失を詳しく見ていきましょう。下の表は3ミリガラスとペアガラスの1/3オクターブバンド各周波数の透過損失測定値です。

周波数 Hz

100

125

160

200

250

315

400

500

3ミリガラス dB

14.7

14.5

17.3

17.6

20.2

21.7

23.8

25.6

ペアガラス dB

20

18.5

19.4

20.1

21.3

21.7

18.5

19.2


630

800

1K

1.25K

1.6K

2K

2.5K

3.15K

4K

5K

27.2

28.7

30.3

31.1

32.5

33.4

33.2

30.5

23

26.4

22.6

25.8

28.9

31.6

34.9

37.2

40.6

40.4

31.9

30.4

板硝子協会「板ガラスの遮音性能 2000年版」より出典
ペアガラスは3ミリ+中間層6ミリ+3ミリのペアガラス
周波数の数字が高いほど高音になり、ガラスの行の数字が大きいほど防音効果が高くなります。

数字を並べただけではよくわかりませんので、グラフにしてみます。

3ミリとペアガラスの周波数解析

T値500Hzを基準にしますのでペアガラスは窓ガラスの防音性能表に合わせますと3ミリガラスはT-1(Ts-25)、ペアガラスはTs-20となり、ペアガラスのほうが防音効果は小さいことになります。あわせてペアガラスは勾配がきついカーブを描くため、平均値を取ると確かに効果は3ミリガラスよりも低くなります。
しかし、315Hzから下の周波数帯と1600Hz=1.6KHzから上の周波数帯ではペアガラスの防音効果(遮音効果)が高くなります。問題になる音の周波数がこの周波数であればペアガラスのほうが防音効果は大きいのです。

では3ミリガラス+中間層6ミリ+3ミリガラスのペアガラスは3ミリガラスが2枚使われていますので(3ミリ×2枚=6ミリ)6ミリガラスと比べてみます。

6ミリとペアガラスの周波数解析

1000Hzまでは6ミリ厚みのガラスの防音効果が高く、それ以上の周波数ではペアガラスの防音効果(遮音効果)が高くなります。

 ペアガラスの問題

質量則に従えば低い周波数から高い周波数に右肩上がりの直線のグラフを描くはずです。単板ガラス(1枚ガラス)は著しく防音性能が落ち込む谷は1つですが、ペアガラスは400Hz4000Hzの2つの周波数で防音効果が著しく落ち込みます。2つの谷ができるのはペアガラスの特徴です。単板ガラスにはこの傾向が見られません。

コインシデンス効果-1つ目の谷

種類や厚みに関係なくガラスに見られる現象です。
ガラスやコンクリートなど硬くて均一な(平らな)壁は特定の周波数で音の透過(通り抜け)が大きくなり=遮音性能が著しく低下します。これは斜めに音が入射すると壁面上の位置によって音圧に位相差ができ、壁面に沿って固有の屈曲強制振動が発生するためです。
厚いガラスほど薄いガラスに比べてより低い周波数で現れます。3ミリガラスのコインシデンス効果が生じる周波数は4000Hzです。上記のペアガラスは3ミリガラスを2枚使っていますので3ミリ厚みのガラスと同じ周波数=4000Hzでコインシデンス効果=防音性能が著しく落ち込んでいます。

では低い方の落ち込みは何でしょうか?

低音域の共鳴-2つ目の谷

他のガラスでは見られないペアガラスの特徴です。
低音域の落ち込みはペアガラスのように二重構造の場合、ガラスどうしが中空部の空気をバネとして共鳴するために起こります。この現象が起きる周波数は組み合わせるガラスやペアガラスの中間層の厚みによって変わりますが、組み合わせるガラスが厚いほど、また中間層が広いほど低い周波数で発生します。いずれもこの現象は400Hz以下の周波数で発生します。

 ペアガラスの実力

ペアガラスだから静かになるとは一概には言えない。また単板ガラスと比べて劣るとも簡単には言いきれない。問題になる音の周波数によって使い分けるべきである。

 異なる厚みのペアガラス

網入りガラス+中間層12ミリ+3ミリガラス

戸建住宅の場合、最も厚いペアガラスは針金入りガラス=網入ガラス(6.8ミリ厚み)と5ミリガラスの総厚み24ミリ(中間層は12ミリ)のガラスです。コインシデンス効果が現れるのは5ミリガラスと同じく2500Hzです。

5ミリと網入りペアガラスの周波数解析

網入りガラスと3ミリガラス

もっと薄い網入りペアガラスの厚みは網入りガラス(6.8ミリ厚み)と3ミリガラスを使った総厚み約16ミリ(中間層は6ミリ)になります。

3ミリとペアガラスの周波数解析

このガラスはコインシデンス効果が弱くなります。網入りガラスのコインシデンス効果2000Hzです。これは3ミリガラスの最も性能が高い周波数と一致します。同様に3ミリガラスのコインシデンス効果は4000Hzで現れますが、網入りガラスが質量則に近い防音性能が出させるため、互いのコインシデンス効果を弱めることなり、結果的には質量則に近い、右肩上がりのカーブを描きます。
このように2枚のガラスの厚みかえるなど工夫次第では高い周波数帯の落ち込みは防ぐことができます。

中間層による防音効果の違い

ペアガラスの中間層は6ミリ厚みと12ミリ厚みの2種類があります。ではこの中間層の厚みの違いでどのように効果が違うのかをグラフで見てみます。

中間層の違いによる周波数解析

 中間層による防音効果の違い

どちらも網入りガラスと3ミリガラスが使われているペアガラスですが、たった6ミリ空間が広がっただけでも防音効果は変わってきます。やはり広いほうが全体的には効果が高くなりますが、その反面低音域の共鳴現象とコインシデンス効果による防音性能の落ち込みが大きくなります。

結論として:一般的な窓ガラスの防音効果

1、厚みが厚いほど防音効果は高くなる。(質量則)

2、ガラスには厚みの違いによって苦手な周波数(コインシデンス効果)があり、厚いガラスほど低い周波数で著しく防音(遮音)効果が落ち込む。

3、ペアガラスには防音効果が落ち込む=苦手な周波数帯が2つある。室内と外のガラスの厚みをかえるなど工夫次第では高い周波数帯の落ち込みは防ぐことができる。

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